2002/1月号

 浮世絵とは広辞苑に次の如く記されている。「寛文頃、菱川師宣によって大成された風俗画の一流派。遊女・芸妓・俳優・武者の似顔や遊里・演劇・美女を描いた。その様式に肉筆と版画とがある。特に版画がもてはやされ、世界的にも著名。作家として鳥井清信・西川祐信・喜多川歌麿・安藤広重・歌川豊国・葛飾北斎などがある。」


 菱川師宣(〜1714没享年不詳)は、安房の人で、江戸初期の浮世絵師、寛文の頃、時の民衆風俗を写した版画を作ったという。民衆が好んで集った場所や、芸娘がそばを食べる様子などまさしく好材料となって描かれ、現在に伝えられている。その絵の中に、当時の人々の生活振りや、喜怒哀楽の様を類推するのも面白い。

 昭和44年、浮世絵蒐集家の山本重太郎氏が、関西そば製粉組合の協力を得て「そばの浮世絵全集」を発刊された。限定版なので残念ながら第一集は手許にない。続いて昭和55年に第二集、同57年に第三集を刊行された。浮世絵を所有されている方々からご提供を受け、編纂されたもので一見の価値はある。発起人の山本氏のものが多いが、そば博士で有名な槙原路郎氏、新島繁氏の名前がうかがえる。第二集は12点、その中に豊国が4点、国貞が2点、広重、芳年も各1点ある。第三集には21点、豊国3点、国貞3点、広重2点、北斎1点と歴々が続く。


花街模様薊色縫]

童戯武者尽]
国貞の今様美人揃−隅田川、亀清楼で芸妓が麺を箸にする図でふと眼をあげると燕が飛んでいる。華やかな中に食の楽しさが現れている。
 豊国の花街模様薊色縫は歌舞伎からの題材であるが仁八という男が、二八と書いたけんどん蕎麦売りが八重垣紋三と語っている図でとてもリアル感がある。

 千代寿 周麿は収穫を祝い、農民に蕎麦を振舞っている図で、老若男女が大勢で楽しそうに満喫している様はほほえましい。
 広重の童戯武者尽は源平合戦で逃げる平家の公達敦盛を、岸から源氏の熊谷次郎直実が「オーイ、オーイ」と呼び戻す様を、武者姿の敦盛はけんどんそば屋になりかわり、そばを食べたい次郎直実これまた武者で「オーイそば屋」と呼んでいる図、所は江戸の一の谷町?と描いている。広重の時代けんどんそばが一斉を風靡(ふうび)していたであろうし、広重先生そばが大好物であったかも、きりがありませんので今回はこれ位で。





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